少し前に書いた『山賊ダイアリー リアル猟師奮闘記』からのつながりで
狩猟に関する本を何冊か読みました。
その中で、とても印象深かったのが『羆撃ち』と『羆嵐』の2冊。
まず、『羆撃ち』
これは、北海道に住む羆専門のハンター、久保俊治氏によるノンフィクション。
前半は、大学卒業後、就職せず、ハンターとして生きていくことを決意した
著者が、まるで昔の武芸者が修行を積むように、ハンティングの道を究めて
行く様子が描かれています。
それは単に古い伝統を踏襲するだけでなく、アメリカのハンティングスクール
へ入学、優秀な成績で卒業した後、現地アメリカでプロのハンティングガイド
となるなど、近代的なハンティングの技も習得していきます。
後半は、帰国後、狩猟犬フチと山に入って羆を追う様子などが、生き生きと
描かれており、特に著者と愛犬フチとの心温まる交流と、ラストシーンには、
思わずじーんと来るものがあります。
続いて、『羆撃ち』からのリンクで、読み始めた『羆嵐』
こちらは、1915年(大正4年)12月に北海道三毛別六線沢(現:苫前町)
で起こった、日本史上最大規模の獣害事件を描いたドキュメンタリー小説。
巨大な羆が、開拓地の農家を数度に渡って襲い、6名が犠牲になり、3名が
重傷を負います。
近郊の農村の男や、警察などが討伐に出ますが、ただ猟銃を持っただけでは
とても、羆に対抗できない。
その恐ろしさと、人の弱さが、息詰まる展開とともに、描かれています。
また、当時の入植地での生活がいかに厳しいものであったか、と言うことも
よく分かる一冊でした。