藤沢 周平の「用心棒日月抄」シリーズ、第一巻を読み終えてから2週間、やっと第四巻にて最終巻の『凶刃―用心棒日月抄』 まで読みました。
今回は、前作から16年後が舞台。青江又八郎も四十代半ばになり、平穏な日々を送っているのですが、またまた密命を帯びて、江戸へ出府。そこでの、幕府隠密などを交えた暗闘に巻き込まれることになります。スリルのある、戦い、藩の秘密に迫って行くサスペンス性など、前3巻の短編とはまた違ったおもしろさのある長編小説になっています。
しかし、何よりこの本は、今までのユーモアあふれた、若かりし青江又八郎の物語りではなく、腹が出てきた中年の又八郎の物語りと言うことで、何とも言えないもの悲しさを感じてしまいました。(時代が違うとは言え、私と同じ年頃ってことになります・・)
何より、用心棒仲間だった、細谷源太夫の変わり果てた姿には、思わず胸が痛みました。そして、江戸組の頭領、佐知との再会と別れなど・・・最後、尼になると言う佐知と、年老いて尼寺に茶を飲みに通う自分の姿を想像して、晴れ晴れと笑う又八郎は、いいですね。ほっとします。シリーズ物で、後日談的小説ですが、面白かったです。
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